
About Keloid
ケロイドとは?
Types of Keloids
特徴と種類
ケロイドとは、皮膚が傷ついた後に
その周囲の皮膚まで赤く盛り上がり、
硬く肥厚する状態を指します。
一般的に「傷跡」として
認識されることが多いですが、
実はケロイドには
真性ケロイド と
肥厚性瘢痕(瘢痕ケロイド)の
2つの種類があります。
真性ケロイド

真性ケロイドは、体質が大きく関係しており、非常に小さな傷跡(例: ニキビ跡、予防接種の跡、ピアス穴)でも発生し、拡大・増悪する性質があります。特に肩や胸部といった特定の部位に発生しやすく、これはケロイド体質とも呼ばれ、体内に「マグマのようなもの」が存在する状態に例えられます。放置するとさらに広がる場合があります。
肥厚性瘢痕(瘢痕ケロイド)

肥厚性瘢痕は、手術や怪我などの大きな傷が原因で赤く盛り上がる状態です。真性ケロイドと異なり、体質的な要因は少なく、誰にでも起こり得るものです。関節付近など動きの多い部位で発生しやすいですが、数年の間に自然に退縮していくことが一般的ですが、数年経っても赤みや引き連れが残る場合は積極的な治療が必要です。
Causes of Keloids
ケロイドの原因
1

外傷や手術跡
火傷や怪我、手術後の縫合が適切でない場合にケロイドが発生することがあります。特に、皮膚の緊張が高い部位(肩や胸など)は、ケロイドのリスクが高まります。
2

体質的要因(真性ケロイド)
ケロイド体質の方は、皮膚が傷ついた際に異常な繊維増殖が起こりやすく、ケロイドが発生します。この体質は遺伝的要素が強いとされているケースもあります。
3

日常的な刺激
ピアス穴やニキビ跡などの小さな傷でも、日常的な刺激や感染が続くとケロイドを引き起こす恐れもあります。
Symptoms of Keloids
ケロイドの症状
赤みと盛り上がり

傷跡の周囲が赤く盛り上がり、
硬くなるのが
典型的な特徴です。
痛みや痒み

ケロイドは神経に影響を
与えることがあり、痛みや強い痒みを
感じる場合があります。
拡大傾向

真性ケロイドの場合、最初は
小さな傷跡から始まり、
徐々に広がることがあります。
ケロイド治療の選択肢
Treatment Options for Keloids
1.保存的治療

⚫︎ステロイド注射
ケロイド部分に直接注射して炎症を抑え、盛り上がりを減少させます。
⚫︎外用薬
ステロイド軟膏やシリコンシートを使用してケアを行います。
⚫︎内服薬
抗アレルギー薬や漢方薬(例: 柴苓湯)で痒みや炎症を軽減します。
2.手術

⚫︎手術
肥厚した部分を切除し、引きつれを取ることが手術の主な目的です。引きつれを取る為に形成外科ではZ形成術という方法を用います。小範囲の場合は局所麻酔下に通院で手術が可能です。広範囲で数の多い場合や小児の場合は全身麻酔下に行います。
抜糸は概ね術後1週間目に行います。
3.放射線治療 ※真性ケロイドの方のみ

⚫︎放射線治療
「真性ケロイド」の場合、手術単独ではほぼ100%再発しますので、術後の放射線治療は必須です。「肥厚性瘢痕(瘢痕ケロイド)」の場合ほとんどが手術単独で治療が可能で放射線治療は原則として不要です。
どちらの要素が強いのか、判別が困難なケースも少なくないので専門医に受診しましょう。
放射線治療を併用することで、ケロイドの再発を強力に抑制し、その効果は生涯続きます。「活火山」を「休火山」にする唯一の方法が放射線です。さらに、術後はテープ固定やコルセットの使用で赤みを速やかに抑え、安定した状態へ導きます。
ただし、真性ケロイドは体質が変わるわけではなく、術後すぐに完治するものではありません。部分的な再発(かゆみや赤みの再発)は一般的で、定期的な通院と保存的治療を続けながら、3~5年かけて「休火山」の状態へと導きます。
4.術後ケア

⚫︎固定療法
テープやコルセットで術後の傷を固定し、引きつれや再発を予防します。
真性ケロイドの場合「手術+放射線治療+術後固定(後療法)」の3つどれが欠けてもダメなのです。形成外科と放射線科の経験豊富な専門医による治療と患者さん自身の努力があってこそ最高の結果が得られます。
肥厚性瘢痕(瘢痕ケロイド)には放射線治療は不要ですが、術後の固定が必須です。特に術後3ヶ月間は、傷が赤く変化しやすい時期であり、厳重な固定が治療結果を左右します。
関節周囲ではコルセット、帝王切開や顔の傷には「接着スプリント」を使用し、再発を防ぎます。適切な固定が、綺麗な治癒への鍵となります。
⚫︎経過観察
数年間にわたり再発の兆候を観察することが必要です。
Q&A
よくある質問
まだ小さなケロイドでしたら、手術や放射線治療までしなくても治療出来るケースがほとんどです。
半年~1年くらいは月一回のペースで「保存的治療」= ステロイドの注射、ステロイドの貼り薬、圧迫療法などで経過をみるのがよいと思います。
ケロイドは体質からくるものですから、1回や2回の治療で結果を期待するのは無理です。根気よく治療することが大切です。
「保存的治療」では結果が思わしく無い場合は「手術+放射線」治療をおすすめします。「手術+放射線治療」をお考えでしたら手術日の予約と放射線治療の予約が必要になります。
手術の場合、特に複数の箇所を一回で行う場合は入院の予約も必要です。
術後のことですが、術後2週間は放射線治療合計5回とガーゼ交換に週3回くらいの通院が必要ですので、遠方の方はその間2週間ぐらい入院されるケースがほとんどです。年齢にかかわらず手術や治療は可能です。
そのような強いケロイドが成長期の関節のところにある場合は、引 きつれや痛みも伴うことが多く、骨や関節の成長に支障を来す恐れ もありますので早期の治療をした方が良いと考えます。ケロイドは徐々に大きく盛り上がる性質があり、特に皮膚の緊張が強いところや関節など動きの激しいところはケロイドが成長しやすいのです。
胸の真ん中は常に緊張の強い場所ですし、肩の周囲も緊張と動きが激しい場所なので大きくなりやすいと思います。
ケロイドは小さな内の方が治りやすいので早期の治療をお勧めします。自傷の傷跡は「幅」「方向」「他の傷との距離や密度」「肌の質や色」「新しいものと古いもの」で治療法が決まってきます。
ある程度の幅があり他の傷と接していない場合は、傷跡の部分を切り取ってきれいに縫い直す手術(保険適応)でかなり目立たなくなります。
密集している傷はその治療に適さないので、レーザー治療(自費治療)の対象になります。
傷の数にもよるのですが、一度に手術出来る数が限られていますので、数が多い何回かに分けて手術することになります。自傷の傷跡は「幅」「方向」「他の傷との距離や密度」「肌の質や色」「新しいものと古いもの」で治療法が決まってきます。
ある程度の幅があり他の傷と接していない場合は、傷跡の部分を切り取ってきれいに縫い直す手術(保険適応)でかなり目立たなくなります。
密集している傷はその治療に適さないので、レーザー治療(自費治療)の対象になります。
傷の数にもよるのですが、一度に手術出来る数が限られていますので、数が多い何回かに分けて手術することになります。放射線治療ですが、30Gyという線量を照射すればほぼ100%に近い抑止力があるのですが、現在の放射線科学会のプロトコールでは「20Gyまでが望ましい」ということになっています。従って、施設によっての差はありますが、20~30%の再発率が認められます。
このことから、当院では「手術+放射線治療」を受けられた患者さんには最初の一年は毎月一回、2年目からはケロイドの状態に応じて2ヶ月毎など継続して経過観察に来て頂くようにご指導しています。
再発は「かゆみ」という症状から始まることが多いので、かゆみが出ていないか、赤みが増している部分はないか随時観察して、その兆しがあればすぐに「保存的治療」を行って再発の目を摘むようにしています。
一度放射線を照射した部位は「保存的治療」への反応が良いので、比較的すぐに鎮火します。
フォローアップ期間は症状の軽い人で3年、重い人で5年です。
治療後3年から5年経過した段階で白くて平らな状態が安定していれば、まず再発する心配は無いと考えています。レーザー直後は、皮膚が回復するまでステロイドの軟膏や絆創膏などで処置をして、皮膚が回復したらシリコンシートを貼るのが良いと思います。
御相談の件ですが、診させて頂いていないのでなんとも申し上げようがないのですが、温泉の脱衣場などで他人に目につくような外見的に明らかな引きつれや盛り上がりあるようなら治療が必要かと思います。
機能的に問題が無く、至近距離で見ないとわからないようでしたら、術後の固定が難しい場所ですので、治療はなかなか難しいかもしれません。術後どれくらいの期間経過しているかにもよりますが、長い場合は下の筋肉や腹膜に癒着している可能性があります。
その場合運動や激しい動きがあると引っ張られ、引きつれたような痛みを感じたりするわけです。
このような場合は癒着を取ることが必要になりますので、形成外科的手術の適応になります。
ケロイドの手術は保険が適応されますのでそれほど大きな費用がかかることはありません。ケロイドの治療には注射や貼り薬などの「保存的治療」と、「手術 +放射線治療」とがあります。
どちらも保険適応です。
注射による治療は「保存的治療」に分類されていて「保存的治療」は毎月1回のペースで来ていただいていますが、何回で大丈夫というものではなく赤みや盛り上がりや痛み、かゆみなどの症状がある間は続けることになります。
「保存的治療」で改善されない場合は「手術+放射線治療」を考えてみてください。